Giostockの株式投資ノート

投資と人生の幸せを考える

ファイザーの下落は買いか? 〜投資家が見た未来〜

投票いただけると大変モチベーションになります

にほんブログ村 株ブログへ
にほんブログ村

f:id:jostock:20200602205509j:plain

 

先日、アメリカの大企業ファイザーの株価が時間外で7%下落しました。

下落の理由は、私が調べる限り"乳ガン治療薬の臨床試験の思わしくない結果"からです。

 

ただそれ以上の情報はあまり聞かれなかったように思います。

 

ここで、不思議に思いますよね。

 

ファイザーでめちゃめちゃ大企業じゃん、ひとつの新薬の試験結果が思わしくないだけで、7%も株価が下がるのは妥当だろうか。

 

しかも、不祥事でも粉飾でも巨大訴訟でも既存薬の取り下げでもないんですよ?市場は常に未来を見ていると思っていますが・・・

ちょいと調べてみることにしましたよ。

 

 

 

株価暴落の理由

7%という数字は間違いなく暴落の部類に入ると思います。

 

なぜファイザーはあの日、時間外で暴落をしたのか。

 

それは進行乳がんの新治療薬『イブランス』の臨床試験が思わしくない結果であった、と発表されたからです

どういう位置づけの薬だった?

乳がんの治療薬『イブランス』、一般名はパルボシクリブです。

 

まず、乳がんは日本においても女性のがん新規罹患部位で1位です。

参照:国立がん研究センター

 

がん検診などにより早期に見つかれば、内服や手術で根治をすることができ、国内の死亡者数は女性のがんでは5位まで下がりますが、進行例や再発例では手術すらできないこともあり、世界でも50万人以上の方が乳がんにより亡くなっています(世界では1位)

 

イブランスは、そういった進行例や再発例の乳がんに対する治療薬としての位置づけでした。

この進行乳がんへの効果に対しては過去の臨床試験で成果がでており、FDAにも認可を受けすでにイブランスは世界中で使用されています。

今回はどうやら早期乳がんに対して臨床使用後の臨床試験が行われているところでした。

 

コロナの治療薬やワクチンでも話題になっていますが、治療薬が市場に出回るまでは非常に長い道のりがあります。

 

f:id:jostock:20200602143938p:plain

創薬研究の流れ

引用:エーザイ株式会社HP(研究開発(創薬研究))

こちらはエーザイのHPからお借りした、とてもわかり易い"新規薬が市場に出るまでの流れ"ですが

イブランスはこの長い道のりを経て、早期乳がんの治療薬としてようやく第3相試験(フェーズⅢ)までこぎつけたところでした。

まさに、市販前に、元気出していきましょう?といったところだったのです。(※イブランスはエーザイの薬ではありません)

  

あの日、何が発表されたのか

ファイザーの発表を直に聞いていたわけではないのですが、ファイザーのHPに記事が掲載されています

https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-provides-update-phase-3-pallas-trial-ibrancer

参照:ファイザー社HP

 

この長い文章を自粛が明けた昼間のスタバでゆっくり読みましたが、重要なことはほぼ冒頭に書いてありました

 

the independent Data Monitoring Committee (DMC) of the collaborative Phase 3 early breast cancer PALbociclib CoLlaborative Adjuvant Study (PALLAS) determined that the trial is unlikely to show a statistically significant improvement in the primary endpoint of invasive disease-free survival (iDFS).

ファイザー社HP記事より一部抜粋

早期乳がん第3相臨床試験であるPALbociclib CoLaborative Adjuvant Study(PALLAS)の独立したデータモニタリング委員会(DMC)により、主要評価項目である無病生存期間(iDFS)が統計学的に有意な改善を示す可能性は低いと判断された。

この文章を読むと、どうやら早期乳がんに対する効果は示せなかった、ということになります。

 

f:id:jostock:20200516130335j:plain
Jostock

ここまで来るのも大変だったのに、第3相でつまずく辛い結果になってしまったんだね・・・とほほ

 

f:id:jostock:20200516130331p:plain
ダウ犬

とほほ、で7%も下げるかね?!しかも進行乳がんについてはすでに結果も出てるみたいだし・・・

 

f:id:jostock:20200516130335j:plain
Jostock

株価は"期待度"を反映しているのは間違いないからね。世の中の人が関心を持っていたのかも。

 

f:id:jostock:20200516130331p:plain
ダウ犬

世界を代表する大企業がひとつの薬で7%も?まじ?

 

 

 

大企業ファイザー

ファイザーはいわずもがな世界を代表する製薬企業ですが、簡単に説明します。

 

会社の規模としてはこちらのランキングでは製薬系企業で時価総額世界3位です。その額$235.8 billion。ビリオンがピンとこないので日本人には東京ドーム何個分かで示してほしいところです。

1位の$JNJ(372billion)は時価総額が別格すぎるというか、薬品以外も多そうなのですが。薬の売上なら、ファイザーはロシュに続いて世界第2位です。

 

商品として、日本でも認可が降り使用されている薬も数多いです。皆さんのご存知の薬もあるでしょうし、ご両親やご親族が実際に内服されている薬もあるかもしれません。日本だと鎮痛薬のリリカや抗血栓薬のエリキュースとか・・・バイアグラなんて有名で、名前は小学生でも知っているかも?!

 

綴りが難しい

ファイザーの綴り(つづり)はPfizerです 。最初のPは発音しないsilent letterです。

そしてティッカーシンボルは$PFEです。ややこしやー。

 

ちょっと覚えにくい綴りですが、大丈夫、pfzerでもfizerでもpfiserでもちゃんとPfizer社が検索されます。Googleが勝手に正しいPfizerのサイトに誘導してくれて、ダミーサイトの登場も心配しなくてよい、それくらいの大企業ですね。

 

社名は、どうやら前身の会社名を引き継ぎ、その会社名は創業者の名前に由来するそうです。1849年創業は、アメリカの歴史を鑑みると老舗中の老舗です。日本でいうと日本橋の老舗、山本海苔店と同じ創業年らしいです。のり!

 

財務分析

2020.6.1時点のyahoo!financeを参照しました。

現在の時価総額は196bil

年間PER 12.67

年間EPS 2.80

前回(Q1)の決算発表の収益では下げたもののconsensusを大きく上回っています(beat)

配当は3.98%と高水準で多くの高配当ETFに組み込まれている実績があります

 

収益を示すPERやEPSは同業と比較しても悪くない数字です

(参照Roche: PER28.29/EPS1.54, Novartis: 16.47/5.26, GlaxoSmithKline: 42.19/0.99)

 

私が最も注目しているROEは21.23%でこちらも悪くない数字です

(参照Roche: 32.17, Novartis: 16.36, GlaxoSmithKline: 49.74)製薬企業は高めなのでしょうか

参照:gurufocus 後述

 

ファンダ指数的には投資する障壁は特に認めないと言えます

 

その他指標

少し特殊な指標もみていきます

ROIC

ROICは資本効率性の指標で、ROAやROEに比べ実質的な企業価値を反映しやすいと言われ、細かい説明は今回は省きますが、一般的にWACCという指標を超えれば良いとされます。ファイザーはROIC8.17>WACC4.04で指標としても良いです。

CAPE ratio

米国株投資で有名なもみあげさん(@momiage0088)が紹介されていた指標です。

CAPE ratioは16.97です

・・・。

CAPE ratioは個別株でどんな雰囲気で使うか知らないんですよねっ

わ、悪くないんじゃないかな、きっと

 

ちなみに上記の指標値はgurufocus.comというサイトで無料で閲覧できます。

指標を調べるのには非常に有用なサイトです。

f:id:jostock:20200602204013j:plain

赤い枠で囲った『Shiller PE Ratio』がCAPE ratioです

 

手数は山ほどある

それでは、今回早期乳がん治療に関して残念な結果に終わったイブランスを含め、ファイザーはどのような薬を売って利益を得ていたのでしょうか。

 

f:id:jostock:20200602204201j:plain

こちら、4月に発表された1Qの決算資料の一部です

 

1Qにファイザーの売り上げに貢献した薬が並んでいます

イブランス(左上)も図の如く米国で15%の売り上げ拡大など、1Qの成績に大きく貢献していたようです。

 

気をつけなくてはいけないのが、これは前述の通り末期乳がんに対する適応の売り上げです。臨床試験で行われていた結果が今後どのような影響が出るかはわかりません。(私の知識の範囲ではわかりません...)

 

ただひとつ言えるのがファイザーは創薬ベンチャー企業ではありません。商品も分散されています。手数も多いので、ひとつの薬でたちまち企業価値が毀損されることはないといえます。

 

実際に、臨床試験で思ったような結果が出ないとか、広く使用されるようになって副作用が問題になるとか、実は有効とされていたデータが捏造によるものであったどこかの日本法人のようなことは製薬業界では全然めずしいことではなく、むしろ日の目をみない薬の方が圧倒的に多いのです。その度に市場はガッカリして株価は下がります笑。

 

ファイザーは"買い"?

上記のことを踏まえると、7%の株価下落はややオーバーリアクションの印象です。

 

ただし、ひとつ重要なことがあります。

 

株価は常に未来を向いているということです。

 

上記に説明した指標はすべて過去の企業の業績を示すものです。この数字の中に今回暴落の原因となった事項は織り込まれてない事実があります。

 

株価は企業の業績の点数ではなく、未来への期待です。今回の株価下落は過不足なくファイザーへの期待の低下そのものと言えます。

 

今後の企業成長を否定するものでは決してありませんが、世界で乳がんの新規治療薬として期待されていた薬が、あと一歩のところで効果がないと知られ、ホルダーががっくり肩を落とすニュースではあったのでしょう。

 

今の株価が"ファイザーのこれから"の正しい評価と言えると思います。

 

後は企業の実態やこれまでの成績を考慮に入れながら投資家がどう評価するか、ということになります。

 

6.8追記

文中にはオーバーリアクションと記述しましたが、早期がんでの手術療法代替や併用に対するイブランスの期待を考慮すると、今回の株価の下落については妥当とのご意見もありました。

 

まとめ

最後は、買えとも売れとも言わない投資ブログとして100点の結論になりました。

 

本記事では触れていませんが、皆さんご承知の通り、この企業に世界が寄せる関心のひとつに新型コロナCOVID-19に対するワクチンの開発があります。

このワクチンへの期待はもしかしたらイブランス以上に織り込まれているかもしれません

 

長くて冗長な記事になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

皆さんの投資にお役立ていただけますと嬉しいです。

 

 

 

記事が面白ければ下の様子がおかしい犬(投票ボタンです)
を押していただけると喜びます。応援ありがとうございます!

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

 

Betmob|投資家ブログまとめメディア


 

 

 

 

注意:この記事の内容は著者が独自に情報収集し個人の見解としてまとめたものです。情報ソースは可能な限り明示し正しい情報を伝えることを心がけておりますが、解釈が誤っている可能性や古いデータとなっている可能性があります。投資判断をする時はご自身の責任で行っていただき、記事の誤りにお気づきの点はお問い合わせフォームにてお知らせいただけますと幸いです。

 

プライバシーポリシー・免責事項