人の行く裏に道あり花の山
あまりにも有名な投資の格言です
私は日本株投資をやっていた間、常にこの格言が頭にありました。
しかし最近、この格言を呟く人も減ったようです。
花咲く湖の畔のおはなし(フィクション)
ある夏のこと
Jostockは投資仲間のダウ犬とカナダを訪れていた。
ダウ犬の祖母が住んでいるカナディアンロッキーに程近い土地で、とても豊かな自然が広がっている。

ひさびさに来れた。ほんとにいい場所だ。

二人は長距離バスを降りて、ダウ犬の親戚が住む湖の畔に向かった。
Jostock「ん、ダウ君。湖はこっちでは?」
ダウ犬は軽い足取りで大きな舗装路を外れ、脇の小さな土の道へと進み始めた。
ダウ「こっちのほうが近い、それにもっと素晴らしいものが見れる」
Jostock「へえ、素晴らしいもの?」
ダウ「もう少し歩くと、道の途中に小さな池があるんだ。開けた土地で、ロッキー山脈が見渡せるよ。たぶんこの時期はグレッシャーリリーの花が一面に咲いていて、美しさで腰抜かすぜ。」
Jostock(マンハッタンの裏路地でゴミを漁っていた犬とは思えない感性・・・ギャップに惚れそう)
ダウ「リリーをおばあちゃんに1輪持っていこう、親戚のおじさんにも、それから隣の・・・」
テンション高く話すダウ犬の口調が突然止まった。
ダウ「なんだこれ?」
二人が歩く道の前に、真新しく舗装された大きな道が現れた。
道の脇にはガススタンドや露天商も並んでいる。鮮やかな色のバスが停められていて、観光客で賑わっていた。
ダウ「こんなの前は無かったけどな」
Jostock「花も売っているね・・・名産品なのかな」
露店には、ケースに整列された花々が並んでいる。店員が二人に気づき話しかけてきた。
トロント「おや、ダウじゃないか。これまた懐かしいね!」
ダウ「トロントおじさん!久しぶりだ。こちらは近くに住んでいた投資家のおじさんだ。おれに投資を教えてくれたんだ。」
Jostock「ダウの負け犬の師匠乙・・・キレイな花ですね。」
トロント「そうだろう。ここには花を目当てにくる観光客も多いからね。」
それからトロントは、この新しい道路や周囲の開発について教えてくれた。店で売っている花は促成栽培で育てた花らしい。
この一帯は素晴らしい景観から、観光バスのコースになっているようだ。観光客はこぞって露店の花を買っていく様だ。
トロントの話では、近くにテーマパークが建設中で、LEDで光るイルミネーションの花畑が一年中に楽しめるらしい。アメリカの企業がクリーンエネルギー開発の象徴として計画しているもので、太陽光や水力発電の力だけでパークの電力を賄っているという触れ込みのようだ。
トロント「すでに注目されて、みんな開園を待ち望んでいる。住民向けに、格安のチケットを確保してくれるらしい。おれはもう都会には行かないから、よかったらダウ、いくつか持っていけ。」
ダウ「ほんと?ぜったい儲かるやつ〜」
唐突な儲け話にダウは嬉しそうだ。
トロントさんに別れを告げた後、二人は舗装された道路を横切り、またもとの土の道に戻った。
数分歩くと目の前に美しい景色が広がった。
青い空と、白い残雪をまとったカナディアンロッキーが湖に反射している。グレッシャーリリーはとても美しくて、Jostockがこれまでみたこともないような黄色だった。
Jostock「すごいなあ、天国みたいだ」
ダウ「そうだろ?おれは死ぬ前にここに帰ってきたいんだ」
Jostock「この花はいつまで咲いているの?」
ダウ「そう長くないと思う。こんなに綺麗に咲いている時に来たのはおれも初めてだな。」
Jostock「こんなに綺麗なのにほとんど人がいない。観光ルートではないみたいだね。穴場だなあ。」
ダウ「ああ、おじさんからもらうチケット楽しみだな〜。高く売れそうだ。」
実はグレッシャーリリーの最盛期には、この場所にも多くの人が訪れていた。
今年は人が少ないこともダウは気づいていた。
バリュー投資のターンが来る?
私は2020年に米国株投資を始めましたが、情報収集の目的に始めたTwitterでは、収益性、決算、成長率とほぼグロース投資の話題が中心です。
高成長の米国株ということもありますが今の相場は割安という概念は崩壊しているようにも見えます。
コロナ危機後の株安ではこぞって高成長が見込まれる銘柄に資金が集中し、低成長、下手すれば並の成長でも資金が抜かれている現状もあります。
これは日本株においても同様の傾向です。
3月の株安から、日経平均という視点ではいくらか株価は戻っているように見えますが、実は特定の少数銘柄の時価総額が日経の株価を大きく支えています。
つまり、マザーズ始め新興銘柄や医薬品、収益を伸ばすことのできたごく一部の小売業です。
その他の企業は・・・
最近の決算をみてわかるように経済の状況は市場に織り込まれているより深刻です。見たこともない決算の数字が発表され、株が叩き売られています。
ある程度の収益減は見込まれていたはずなのに、です。
その中でも成長が見込まれる少数銘柄や、コモディティなどに資金が注入されていますが、少し無理がある状況とも言えます。
株価は実体を先行すると言えども、この状況は暫く続くものと思われますし、不景気が約束された現状では逆張りをするのは非常に怖いのが率直な感想です。
しかし、裏を返せばバリュー投資の絶好の仕込み時と言えます。
今後も成長企業には当然資金流入が続いて、利益を上げれば将来CFを見越して株価が上がるでしょう。しかし景気が横ばいになった時点では相対的に成長株への資金流入は鈍化する可能性があると考えます。
景気循環という言葉がありますが、投資法も循環するのでしょうか。そしてターンが来た投資法で爆益をあげるのは大衆に先行して始めていた人々でしょう。
真のバリュー投資家は歯を食いしばって仕込みを始めているのではないかな。
景気後退を感じながらバリュー投資をするのは簡単なことではありませんが。そして数年後に「出荷出荷〜♪」と鼻歌交じりに利確をしている姿を本気で想像しています。
現実的には、アベノミクス相場で甘やかされた凡人バリュー投資家だった私には精神的には難しい投資法です。難しいからこそリターンがあり、つまり次の格言です。
人の行く裏に道あり花の山
投資界隈ではあまりに有名な格言ですが、
もともとは茶聖と言われた千利休が詠んだ詩とも言われています。
『群衆の群がる銘柄はすでに割高で、むしろ裏道に割安で放置されている花の山がある』といった逆張り投資を象徴するとも言える格言です。
順張り投資にとっては裏道は真に暗く、大きく持続的なモメンタムを特徴とする米国市場では群衆の進む方向に逆らわず、賑やかな大通りを進んで行く先にはピカピカ光るLEDの花が咲いているように見えています。
一年中見れるLEDの花も、人々が飽きて廃ってしまうと意味がありませんが。
実はこの詩には続きがあります。
人の行く裏に道あり花の山、いずれを行くも散らぬ間に行け
株価が散るのはいつか、それが問題です。
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